心で聴く音
水琴窟のご紹介
水琴窟とは
江戸の文化の華 文化文政の頃、
江戸時代の庭師によって考案されたという水琴窟は、
日本庭園最高の技法の一つといわれ
「つくばい」の鉢前に造られたもので
「洞水門」とも言われる。
『運命によって諦めを得た〈媚態〉が
〈意気地〉の自由に生きるのが<いき> である』
(九鬼周造著 「いきの構造」より)
といわれる <いき> は、
美の意識を表すが、
水琴窟はの表現そのものである。
「水琴窟は」このすべてを表現している。
・その姿はすべて土の中に隠されている。(見えがくれ)
・つくばいの石組や形も派手さは何ひとつなく、待ちわびて聴く小さな音色
造る者のゆとりと遊びの心が表されている。(わび・さび・渋さ)
・この音色は、心で聴く音色である。(省略とゆとり)
・流れ出た水の音よりも、水滴と水滴の間を聴き余韻を楽しむ。(余情と余韻)
水琴窟は音の文化の一つであり、一つの余韻を追って耳は限りない静寂に出会う。
それは自然と出会い、そして五
感と出会う。待ちわびる音色は、無への世界へと入り込む。この単純にして微妙なる音色一つを求め、静の中に動を求めて、己をば無我の境地へと引き入れてくれるものが水琴窟であろう。
ここ當麻の里で、風の囁き語る中に玄妙な音色を楽しみ、現世の音の氾濫を逃れ、音の原点を静寂の中に求めて懐かしむ。
木々の間に隠顕する塔の姿は、素晴らしく また美しい。その憂姿が池泉に影を落とす庭園を眺めながら心を洗い清めていただきたく、そして幻の音色を求めてください。